半導体は、パソコンやスマートフォン、液晶テレビなどのデジタル家電から冷蔵庫や洗濯機などの家電や自動車など、ありとあらゆる製品に搭載されています。さらに社会インフラの制御やデジタルデータを蓄積するサーバーにも使用されているため、半導体なしでは私たちの生活維持は考えられなくなっています。
半導体製造では、集積回路の内部や測定機器などで光学部品が使用されています。半導体技術が急速に進化する中、集積回路には非常に細かなパターンが造られており、その精度はナノレベル。従って、使用される光学部品にも非常にシビアな条件が求められます。
課題半導体の製造プロセスにおいて超微細な誤差も検知したい。
半導体に使用される光学部品のひとつに『プリズム』があります。光学材料への光の入射面による屈折率の違いを利用し、光の量や方向をコントロールします。
ある時、取引先の半導体メーカー様から、集積回路製造装置のセンサーに使われるプリズムのサンプル解析を依頼されました。プリズムの臨界角での全反射により、製造装置の状態を検知する仕組みになっており、高い反射率が求められます。
解析では、99.5%という非常に高い反射率が認められ、プリズムの高い光学性能を示した結果となりました。ところが、当社で任意に油脂(汚れ)を付着させて同様の解析を行なったところ、反射率は2.6%と大幅に低減。汚れにより、全反射条件が崩れ、光量が損失することが判明しました。製造工程ではメンテナンス時に皮脂が付着することも考えられます。万が一、汚れが付着すれば、検知精度が下がって工程不良を引き起こす要因となりうるため、早急な改善が急務でした。
課題
反射面の汚れが影響し、反射率の低下を引き起こす
ソリューション汚れが付着しても高い反射率をキープし、精密な半導体製造の品質保持に貢献。
解析で得た結果をもとに、万が一、汚れが付着しても高反射を維持する高反射ミラーを付与したプリズム『誘導体多層膜ミラー付きプリズム』をご提案しました。
全反射は、プリズム(ガラス)から空気へ光が出ていく際の屈折率を利用しています。しかし、汚れが付着するとプリズムと空気の間に汚れが存在し、プリズムと汚れの間で光の透過と反射を繰り返すため反射効率が低減します。当社がご提案したプリズムには、万が一、汚れが付着しても反射率を下げないコーティングを施すことで光学性能を保持。解析では、正常時の反射率99.9%と高性能を発揮した上に、汚れが付着した場合においても反射率84.1%と高レベルを維持しました。この結果にクライアントである半導体メーカー様から高い評価をいただき、すぐに採用となりました。
東海光学のソリューション
表面状態の汚れも想定した光学薄膜設計で表面状態の影響を受けずに高い反射率を実現
今後の展望
今後も、技術パートナーとして光学性能向上や品質改善をご提案します。
ご紹介した採用事例のように、当社では長年培った光学技術をベースとして、光学性能の解析や品質改善をご提案しています。今回の事例では、クライアントから提供された解析用サンプルにも、汚れても反射率を下げないコーティングが施工されていました。ところが、当社の解析によりコーティング性能が不十分であることが明らかとなり、当社からより良いコーティングをご提案する流れとなりました。
このように自社技術だけではできない課題発見や改善などに対し、これからも客観的視点と高い技術力によってアプローチし、品質向上やコスト・工程カットなどをご提案することで、よりよいモノづくりに貢献していきます。
「さらに光学性能を高めたい」「光学技術で課題を解決させたい」など、私たちは製造メーカーの技術パートナーとして共に課題解決に努めていきます。
ご紹介製品
お問い合わせ窓口
- 東海光学株式会社 光機能事業部
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