エンターテインメントの世界では、映像を用いた演出が欠かせません。特に昨今では、プロジェクションマッピングによる空間演出など、クリエイターによる多彩で芸術的な演出による映像は、観る人・訪れる人を異空間に誘うような没入感があり、国際的なイベントのメインステージにも採用されています。
このように映像演出はレベルも規模も拡大傾向にあります。よりリアルな映像を大規模空間で投影するために高輝度のプロジェクタが増えています。しかし、高輝度を実現させるためには出力パワーをこれまで以上に上げる必要があり、それに伴い、高度な光学性能が求められていました。
課題高輝度化するプロジェクタの耐久性を高め、映像の鮮明さを実現させたい
より明るく高精細な映像を投影するには、光量を高める必要があります。そのためレーザを光源としたプロジェクタも増えています。
プロジェクタの光をコントロールするのが『ダイクロイックフィルタ』です。ダイクロイックフィルタは光の色を切り分ける性能を持ち、任意の色を表現したり、紫外線や赤外線カットなどの目的で使用されます。ところが、光量を上げることでコーティングが熱を吸収し、成膜性能を発揮できないばかりか、基板が破損・劣化する恐れもあります。
このように、光源出力をパワーアップさせた際に起こりうる品質上の大きな課題に対し、コーティング技術のさらなる高性能化は必須です。またレーザのような強い光に耐えうるコーティングの需要性も高まり、光学部品の性能を保って基板の損傷・劣化を防ぎつつ、より美しい映像を映し出すコーティング技術が求められていました。
課題
プロジェクタの光量を上げると、成膜性能を発揮できず基板が破損・劣化する恐れもある。
ソリューション複雑な薄膜設計と加工技術で「耐久性」「レーザ耐性」を付与しました。
当社ではさまざまなコーティング技術を組み合わせ、複合的な性能を持つコーティングに実績があります。今回のケースでは、紫外線カットなど従来から求められる性能を保ちつつ、熱の吸収を抑え、「耐熱性」「レーザ耐性」に優れたコーティングを提供しました。
500℃という高温にも耐えうる成膜設計を行ったほか、より彩度の高い映像を表現するためにダイクロイックフィルタの色の切り分けにも注力しました。光に含まれるさまざまな光から任意の色を透過・反射させるにはフィルタによるコントロールが不可欠です。当社の光学薄膜設計陣が色の切り分けをよりシャープに設計したことで、大規模な設営でも鮮やかに映える色彩表現を可能にし、国際的な大規模イベントに当社の技術を搭載したプロジェクタが採用されました。
東海光学のソリューション
紫外線カットなどの性能を保ちつつ、「耐熱性」「レーザ耐性」に優れたコーティングを提供。
今後の展望
さらなる高輝度化に向けて、素材・コーティングの性能向上を目指します。
エンターテインメント業界では、映像を用いた巧みな演出が主流となり、より高度な映像技術の発展により、プロジェクタに求められる品質も高まるでしょう。また、広く手軽に使用できるよう小型化のニーズや、ヘッドアップディスプレイへの展開も益々盛んになると考えます。光学機器の開発には、さまざまな技術を結集させる必要があります。
当社は光学薄膜の分野のプロ集団として、素材・コーティングのそれぞれで性能向上に向けた開発を継続して進めていきます。
ご紹介製品
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